2011年01月09日

【小咄】碧&幼馴染s「切っ先と縁2」

 此処は、南野家。

 長兄たる紅光が、買い物から帰ってきた頃、弟・碧の部屋では……


「碧。ゴムか紐ない?」
「輪ゴムならあると思うよ。そっちの引き出し」

 ベッドに寝転がりながら、ちょいちょいっと小タンスを指さす碧。
 距離的にいえば、寵の座っている座卓よりも、碧の方が近い。
 が、あえてそこは突っ込まず、寵は立ち上がって、小タンスに歩み寄った。
 いくつかある引き出しを2〜3度開け、お目当てのものを見つける。


「じゃあ、2個貰うから」
「別にいいけど、何に使うわけ?」

「まくってるだけじゃ、袖が落ちてくるから。くー兄、背ぇ高いから、やっぱり大きいな」

「「……悪かったな」」

 ハモッた声は、意味は違ったけれど、気持ちは似ていた。


 かたや、身長差のせいで衣装が貸せず、日頃から気にしている小柄さを強調されてしまった少年。

 かたや、当てるつもりはなかったものの、狭い室内で研ぎたての剣をぶん回し、剣圧でもって衣装を切り裂いてしまった少女。

 どちらも、ほんのちょっとした苛々と同時に、そこまで気にすることでもないという面倒さが混じった、妙な感情であった。


 その様子に、寵は苦笑気味に言う。

「悪くはないよ、どっちも。――姉さんが、あれくらいなら直せるって言ってたしさ。当たってはなかったんだし」
「かすってもいたら、今頃唯さん呼びにいく大騒ぎだろう」

 我関せずといった風に、出窓に腰掛けていた蛍明が、溜息混じりに言った。


 実際、彼女の言うとおりだろう。

 蓮の剣は、ただでさえ、切れ味がいい。
 身の丈より遙かに大きなソレは、一体普段何処にしまってあるのか、いきなり抜き身で取り出され、彼女の両手によって、所構わず、ぶん回される。

 腕力や脚力においては、男共には勝てない彼女だけれど、スピードだけはあの父親譲りで、幼馴染みの誰にも負けない。
 短気な彼女を苛つかせたら最後。
 いつの間にか、のど元に切っ先を突きつけられていた……なんてこと、全然珍しくないのだ。


 流石に幼馴染み等には、本気を出していないので、実際に当てたことは今のところないし、剣圧も大体考慮してはいるのだが。
 今日だけは、つい数日前に研いでもらったことを、すっかり忘れていたのだ。



「それはそうとさ。蓮って、いつからあの剣使ってた?」
「……はっきり覚えてない。それがどうした」

「大したことじゃないけど。小さい頃、蓮、よく剣折ってたな〜と思って」
「そういえばそうだったな」

 寵の言葉に、碧が何気なく同意する。

 思えば、幼少時にはしょっちゅう組み手をしていたけれど、その度に蓮は違う剣を使っていたような気がする。
 碧の植物操作もその都度違うものだけれど、それとこれとは話が違いすぎる。
 蓮の剣は、碧や蔵馬のように妖気を通わせ、自ら練りだしたものではなく、紅光の二刀流同様、誰かが作り上げた代物なのだから。

 ……そのせいもあって、蓮の扱いに耐えられず、しょっちゅう折りまくっていたわけだけれど。


「けど、今の剣になってから、ずっと同じの使ってるだろ? 刃こぼれくらいしても、折ったことってないし」
「そういや……蓮、何で?」

 碧にまで聞かれ、蓮は少し面白くない顔をする。
 あんまり言いたくない、しかし隠すほどではない、そんな顔だった。


「……言いたくないなら、私が言おうか?」

 普段無口な妹に、ややからかい混じりに言われ、蓮は溜息をついた。


「……大した理由ではない。この剣にした頃、ヤツに会っただけだ」
「ヤツって?」

「鍛冶屋だ」

「鍛冶屋……ああ、父さんの知り合いか」
「碧、知ってるのか?」
「会ったことはない。俺の武器は、手入れを誰かに頼むようなものじゃないし。ただ、兄さんは父さんを介して頼んでるはずだけど」

「ふ〜ん。で、それと折らなくなったのと、何か関係あるのか? 剣について語られたとか? 剣を作った人の気持ちとか、折れた剣のこととか」
「そうだとしたら、おれが気にすると思うか?」

 少し考えて、碧と寵の声が揃った。

「「思わない」」

 思うわけがない。
 他人に何かを言われて、感動するとかそういうことが、この上なく不向きな蓮には……。


「じゃあ、何があったんだ?」
「……ヤツが言ったのは、剣のことじゃない。父さんのことだ」

「飛影さんのこと? 何言われた?」
「…………」

「悪口……ではないか。鍛冶屋さん、生きてるわけだから」

 いくら普段喧嘩ばかりとはいえ、父親の悪口を言われて、蓮が黙っているはずもない。
 が、

「半分間違っているぞ、寵」
「蛍明?」

「悪口ではないのは、当たっている。だが、生きているのは関係ない」
「は?」
「その場には、私もいた。一度きりだが、よく覚えている――私たちが勝てるような相手ではない、今はな」
「あ、そう……」

 そういえば、蔵馬の古くから≠フ知人なのだ。
 弱いわけがない。
 何と言っても、自分たちはまだ子供なのだから。

 最も、「今は」と言っている以上、将来見込みがないわけではないらしいが。



「じゃあ……何を言ったんだ?」

「……父さんの剣折りの歴史だ。実にアホらしい歴史だった」



 ――飛影さんの剣はね。何度も折れてるんだけど。

 ――結構、もったいない折り方しててね。

 ――自分の力を過信した結果だったりとか。

 ――相手をなめてかかった結果だったりとか。

 ――蓮ちゃんにも、しっかり受け継がれてるんだね〜。



「やつは長寿だ。下手をすれば、魔界中にアホらしい歴史をばらまかれかねない」

「……それで、折らないようにしてたのか」

 思ったよりも、大した理由でないことに、碧はこっそり溜息をついたけれど。

 武術会で優勝した直後、人間の女のビンタ一発でぶっ倒れたことが、今や伝説として語り継がれる父を持つ寵としては、

「気持ち、少し分かる……」

 ずれてきた袖口を直す余裕もなく、深く頷き続けるのだった。




 終



 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



 本当に大した理由じゃありませんでした(笑)
 しかし、こういうことほど、気にすることってあると思うので。
posted by rio at 20:34| 小咄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月08日

【小咄】紅光+琉那「切っ先と縁」

ピカ「何をやっている?」
ルナ「ああ、ピカ。お帰り。参考書あった?」

ピカ「何とか。古本コーナーを探したら、そこそこ安価で……ではなくて。質問の答えは?」

ルナ「ん? ピカには、これが料理に見えるわけ?」
ピカ「残念ながら、視力は悪くない」

ルナ「だよね。見ての通り、裁縫だよ。梅流さんにソーイングセット借りてね」
ピカ「……先ほどまで、寵が着ていた衣装に見えるのだが」


ルナ「そうだよ。穴が空いたから、繕ってるの。――ああ、シャツ一枚にしとくわけにもいかないから、ピカの服、一着借りたよ。碧くんのじゃ、少し小さくてさ」

ピカ「別に構わないが……聞くまでもないかもしれないが、原因はなんだ?」
ルナ「蓮ちゃんが剣ぶん回した」

ピカ「やっぱりか……(溜息)」


ルナ「本当に切れ味いいよね、あの剣。これ、剣先もかすってないんだよ?」
ピカ「まあ……普通の洋服である以上、剣圧だけで充分だろうな」

ルナ「どっから取り出してるのか分からない不思議もあるけど、私はあの切れ味の方が不思議だな〜。いつ見ても、綺麗って思えるくらいすごいもん」

ピカ「……刀鍛冶が普通ではないからな」


ルナ「へ? ――ああ、そういえば、蔵馬さんの古い知り合いなんだっけ? 私は素手だから、縁なくってさ。ピカは二刀流の手入れお願いしてるんだよね? 会ったことあるの?」

ピカ「……一度だけ」

ルナ「へ〜、どんな人?」

ピカ「…………」

ルナ「ピカ?」


ピカ「……私が世話になっていながら、直接会ったことがあるのは、一度だけ……という時点で分からないか?」

ルナ「あ」





 終





−−−−−−−−−−−




 ルナの弟妹sの呼び方は、どうだったかよく覚えてなくて、とりあえず敬称付に。
 彼女のことだから、つけないかもしれませんが。

 次回は、隣室に居ると思われる年少者組の話書いてみたいです。
 しょっちゅう剣を折っている父とは違い、蓮はずっと同じ剣を使っている理由などを……(大した意味じゃありませんが/苦笑)
posted by rio at 20:02| 小咄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月05日

【つぐみ&チビ黒鵺】衣装について

 妖鳥の衣装について、色々皆様が練られているようなので。
 ちょっとだけ考えてみました。

 といっても、狐白関連での私のキャラって、つぐみと子供のチビ黒鵺くらいだけど(オリ小説キャラになったら、結構いたかな?)

 とりあえず、これが大分前に描いた設定画。


tugumi.jpg


 左から、つぐみ(人間バージョン)・つぐみ(妖怪バージョン)・チビ黒鵺です。


 簡単な設定としては、

<風抜 つぐみ>(凌さん命名v)

・映画「炎の絆」に出てきた黒鵺の妹。

・羽は小さく、飛行能力は低い。武器は、親の形見である短刀。実力は低くはないが、高くもない。

・夫は、後に転生して蔵馬さんの弟・畑中 秀一になる、 皇 倉麻(妖狐)

・亡き兄の名前をもらって息子に「黒鵺」と名つけるが、出産後まもなく、人間に転生している。

・人間名は、松平 つぐみ。

・最終的には、畑中 秀一と再会し、畑中 つぐみに。つまり、蔵馬さんの義妹。



<皇 黒鵺>

・妖狐と鵺族の間の子のため、翼としっぽ、両方はえている。耳は、尖っているだけで、獣耳ではない。

・翼が大きく、長距離飛行可能。そこそこ強いが、好戦的ではない。

・両親とも、転生してしまったため、鵺族の村の仲間たちによって育てられてきた。

・「黒鵺」というと、伯父とごっちゃになるため、「チビ黒鵺」とか呼ばれたりもしている。

・性格的には、どっちかっていうと、温厚な父親似…かな?



 ……前に考えてた設定資料が行方不明のため、ちょこちょこ思い出しながら、書いてみました(イラストだけ何とか発掘…)
 当時と違ってたら、すいません!!(滝汗)

 なお、イラストでは、つぐみの羽もチビ黒鵺の羽も、色がかなり薄いですが、本当は髪の毛と同じ真っ黒です。
 色つける段階で、髪の毛とかしっぽと重なって、何が何だか分からなくなったので、あえて薄目に……。


 で、肝心の衣装ですが。

tugumi2.png


 いちおうこんな感じかな〜と。

 映画何度か見直したんですが、黒鵺さんは衣装も羽も髪の毛も真っ黒の上、背中が見えるシーンが少なくて、どうなっているのか、さっぱりで……(持ってるのが、レンタル落ちのビデオだけで画質が…/汗)
 あえて、意識せずに描いてみました!


 私個人的な考えなんで、深くは気にされないでくださいねー!
posted by rio at 15:05| キャラ設定・魔界鵺一族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月01日

【絵】あけましておめでとうございます!

 此処で言うのも、何なのですが。

 あけましておめでとうございます!!

 昨年はたくさんお世話になり、本当にありがとうございました!!


 年賀状(もどき)描いてみました。

 寒い冬といったら、やっぱり温泉ですかね〜?

kinen18.png

 ……この後、卯年に因んで、ほどよく煮こまれ、味の出た兎さんsを……(笑)


 今年もどうぞよろしくお願いします!



posted by rio at 00:46| イラスト・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする